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トT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病(ATL)について資料

https://www.amed.go.jp/news/release_20200601.html

プレスリリース
日本人に多いヒトT細胞白血病ウイルス1型が炎症とがんを引き起こす新しいメカニズムを解明

プレスリリース

In English
熊本大学
日本医療研究開発機構

ポイント

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)が、ウイルス遺伝子「HTLV-1 bZIP factor (HBZ)」の作用により、HTLV-1に感染した免疫細胞(T細胞)のサイトカイン※1への反応性を変えることで炎症と発がんを引き起こすメカニズムが明らかとなりました。
これらの所見は、HTLV-1が引き起こす悪性腫瘍(ATL)及びHTLV-1関連炎症性疾患の発症メカニズム解明に寄与し、新しい治療法、発症予防法の開発につながることが期待されます。
概要説明

背景

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病(ATL)というリンパ球の悪性腫瘍や、HTLV-1関連脊髄症(HAM)と呼ばれる慢性の神経疾患の原因ウイルスで、日本に現在約80万人の感染者が存在すると推定されています。このウイルスは、感染したリンパ球の数を体内で増やすことにより病気を引き起こし、約2~5%の感染者では感染細胞が悪性化しATLを発症します。

熊本大学病院感染免疫診療部の樋口悠介助教、同大学院生命科学研究部の安永純一朗准教授、松岡雅雄教授らは、ウイルスが持っているHTLV-1 bZIP factor (HBZ)という遺伝子に注目し、HBZが機能するように遺伝子操作したモデルマウス(HBZトランスジェニックマウス:HBZ-Tgマウス)を作成して解析してきました。このHBZ-Tgマウスでは、ヒトのHTLV-1感染者と同じ種類のリンパ球(CD4陽性CD25陽性Foxp3※2陽性T細胞)が増加し、炎症と悪性リンパ腫を発症することから(図1)、HBZがHTLV-1の病原性に重要な役割を果たしていると考えられます。HBZ-Tgマウスを詳細に解析することで、HTLV-1が慢性に感染し、病気を引き起こすメカニズムの解明につながると考えられます。


図1:HTLV-1感染者とHBZトランスジェニックマウス(HBZ-Tg)の類似点
研究の内容

これまでの研究で、HBZ-Tgマウスは炎症とT細胞性リンパ腫を合併し、特に炎症が強いマウスではリンパ腫の合併率が高いことを見出していました。炎症性サイトカインであるIL-6が炎症を介して発がんを促進することが知られているため、研究を始めた当初はHBZ-TgおよびATLにおいてもIL-6が発がんを促進している可能性を考えました。そこで、IL-6を産生できないHBZ-Tgマウス(HBZ-Tg/IL-6ノックアウトマウス)を作成し解析を行ったところ、予想に反して炎症とリンパ腫の有意な増加を認め、IL-6はHBZの病原性に対しては抑制する作用を持っていることが判明しました。IL-6は多彩な機能を有するサイトカインであり、免疫を抑制する制御性T細胞(Treg)という細胞の分化を阻害することが知られています。以前著者らは、HBZ-TgマウスではHBZの作用によりTreg様の細胞が増加しており、炎症の誘導に関与することを報告しています。今回の結果は、HBZ-Tgマウスでは、IL-6の欠失が加わることでTregへの分化が更に促進され、疾病の発症も加速することを意味しています。

一方、HBZ-Tgマウスでは免疫抑制性サイトカインであるIL-10の産生が亢進しており、HBZ-Tgマウス由来のT細胞の増殖を促進することが判明しました。正常マウスのT細胞はIL-10刺激により増殖しないため、HBZがIL-10刺激を変調し、細胞増殖を促進すると考えられます。詳しい解析を行った結果、IL-10シグナルの下流で働く転写因子STAT1、STAT3とHBZが結合し、これらの転写活性を撹乱するというメカニズムを見出しました(図2)。


図2:HBZの機能によるサイトカインシグナルの攪乱(模式図)
HBZを発現するCD4陽性T細胞では、制御性Tリンパ球に類似するT細胞への分化が亢進しており、免疫抑制性サイトカインであるIL-10の産生が増加している。さらにIL-10支部なるはその下流でHBZとSTAT1/3タンパク質が結合することにより攪乱され、細胞増殖が促進されると考えられる。
これらの所見は、HBZがCD4陽性T細胞のIL-6とIL-10に対する反応性を撹乱することで炎症と発がんを惹起するという、これまでに知られていない病原性発現のメカニズムを示唆するものです。

本研究成果は米国科学アカデミー(National Academy of Science:NAS)が発刊する『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Science:PNAS)』に令和2年5月30日(日本時間)に掲載されました

本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業、次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE)」、独立行政法人日本学術振興会、公益信託日本白血病研究基金から研究資金の助成を受け行われました。

展開

本研究での解析結果は、HTLV-1が感染細胞の増殖を促進し、持続感染を維持する機構に迫るものであり、HTLV-1感染によりATLや炎症性疾患が引き起こされる分子機構の基盤解明につながると期待されます。また、IL-6やIL-6受容体は慢性関節リウマチなど自己免疫疾患の治療標的であり、これらの阻害剤が臨床で使用されています。HTLV-1感染者に対して使用される場合には注意深い観察が必要であると同時に、有効性、危険性に関する評価が必要であると考えられます。

用語解説

※1 サイトカイン:
免疫細胞などから分泌され、生体内の様々な細胞の機能や働き、情報伝達に影響する生理活性物質(低分子タンパク質)。
※2 Foxp3:
制御性Tリンパ球(Treg)の分化を誘導するマスター遺伝子。HBZはトランスフォーミング増殖因子b(TGF-b)という多機能性サイトカインの作用を増強しFoxp3の発現を促進することで、感染細胞をTregと類似する性質に誘導する。

1 人の HTLV-1 感染者が生涯に ATL になる確率は約 4~5%、HAM になる確率は約 0.3%といわれています。また、個人差がありますが潜 伏期間は ATL で 40 年以上、HAM や HU は数年以上といわれています。 つまり、ATL は 40 歳を超えるまでほとんど発症しませんが、HAM や HU は若い人でも発症することがあります(HAM の平均発症年齢は 40 代です)。ATL は男性に多く、HAM と HU は女性に多い傾向があ ります。HAM は HU を合併して発症することもあります。


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HAMとは

HAMとは、HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy)の略です。現在、全国で約3,000人の患者さんが病気と闘っていると推定されています。またHAMは平成21年度より、厚生労働省難病対策疾患に指定されました。 HAMが発症する原因はまだはっきりとはわかってませんが、HTLV-1に感染したTリンパ球が脊髄の中に入り込み、炎症を起こすことがきっかけと考えられています。そして脊髄の中で起こった炎症が慢性的に続くことで、神経細胞が傷つけられます。脊髄には両足、腰、膀胱、直腸などへつながる神経が通っているので、足が動かなくなったり排尿障害、便秘などの症状が現れます。

またHAMは、病気の症状や進行具合の個人差がとても大きいという特徴をもっています。したがって、将来的に病気が進行していくことを出来るだけ防ぐために、病気の進行度を調べる検査をして、ひとりひとりの病状に応じた治療を受けることが重要です。

HAMの進行を防ぎ適切な治療を受けるために、早いうちからきちんと検査を受けて病気の評価をおこない、主治医にご自身の症状や希望を相談するようにしましょう。

HAMの初期症状は?

HAMの初期症状として以下の項目があげられます。

なんとなく歩きにくい
足がもつれる
走ると転びやすい
両足につっぱり感がある
両足にしびれ感がある
尿意があってもなかなか尿がでない
残尿感がある
頻尿になる
便秘になる

  
キャリアの方で上記のような症状が持続する場合は、すみやかに医療機関を受診してください。診療科は神経内科をおすすめします。

 
■全国医療機関検索ページ

 

また、受診する場合には
・自分がキャリアであること
・いつから上記の症状があるか
・上記の症状の程度はどのくらいか
をきちんと医師に伝えてください。そうすることで、早急に適切な治療を始めることができますので、あなたの今後の生活を大きく変えることにつながります。

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どうして足が動きにくくなったり、排尿の調節が出来にくくなったりするのでしょうか?

HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)に感染したTリンパ球は普段は血液の中を循環していますが、何らかのきっかけで脊髄の中に入り込み(図 ①)、脊髄の中で慢性の炎症(図 ②)を引き起こすことがHAMの病気の原因と考えられています。炎症とは、例えば傷にバイ菌が入るとあかく腫れるような現象のことです。HTLV-1に感染したTリンパ球によって引き起こされた脊髄中での炎症が慢性的に続くことによって、脊髄の中にある神経細胞が傷つけられてしまいます。脊髄中の神経細胞は、脳からの足を動かす指令を伝えたり、排尿の調節をしたりする役目がありますので、その神経細胞が壊れることによって、足が動かなくなったり、排尿の調節ができにくくなるのです。
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この病気はどのような経過をたどるのでしょうか?

HAMは、年単位でゆっくり症状が進行していく場合が多いですが(図青線)、なかには、脊髄での炎症が激しく数か月単位で急速に症状が進行する重症な場合や(図赤線)、炎症が弱くて数十年経過してもあまり症状が進行しない軽症な場合まで(図緑線)、病気の進み方は個人差が大きいという特徴があります。 炎症のある状態が続くと、脊髄の中の神経細胞が壊れていってしまいます。きちんと検査を受けて炎症の程度を把握し、主治医と相談しながら適切な治療を進めていきましょう。

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また、患者さんからの情報は医師が病気の状態を正確に把握するのにとても役立ちます。症状がいつごろから出はじめたかなど、具体的に主治医に伝えましょう。


いつからどのような治療を受けることが出来るのですか?

病気の進行の早さや炎症の強さに応じて、炎症を抑える治療の強さを調節する必要がありますので、まず炎症の強さを知るために、髄液検査をします。そして、炎症が強い場合は症状が進行する可能性が高いので、ステロイド療法やインターフェロン・アルファ注射療法などの治療により炎症を抑えて脊髄が壊れるのを防ぐようにします。

治療の効果は、すぐに現れる場合とそうでない場合がありますが、重要なのは "炎症が弱い状態を持続させること" です。10年後、20年後に出来るだけ進行しないという、長期的な治療目標の設定が必要です。主治医とよく相談し適切な治療を見つけましょう。

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病気の状態はどのような検査で調べるのですか?

HAMの状態を把握するためには、ウイルスの量の評価、脊髄での炎症の程度の評価、などが重要です。主に、血液検査と髄液検査で調べることが出来ます。

 


治療の効果を判定し、また薬の副作用や合併症があらわれていないかを確認するためにも、検査を定期的にきちんと受けることが大切です。
また、排尿で悩んでいらっしゃる方は泌尿器科で検査をして、適切な治療方法を選択することが有用です。 眼の炎症(ぶどう膜炎)などを合併することもありますので、目がかすむなどの症状があるときは、眼科での診察をおすすめします。いずれの場合も主治医とよく相談して下さい。

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HAMとうまくつきあうために、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか?

まず、ご自身の状態にあった治療目標を設定することが重要です。病気の活動性だけでなく、年齢、合併症などによって、適切な治療方法や治療の強さが異なります。薬の副作用も考慮しなければなりませんので、主治医とよく相談してそれぞれの将来をみすえた適切な治療計画を設定しましょう。  

炎症が落ち着くと、リハビリの効果がより得られやすくなります。リハビリの目標も状態によって異なりますので、主治医やリハビリの先生とよく相談して決めることが大切です。

また、排尿障害や便秘、痛み、褥瘡(じょくそう)などの合併症の治療については、さまざまな治療法がありますので、主治医とよく相談してください。

◆ HAMの治療薬について知っておきましょう
HAMの治療に用いられる薬には、ステロイドインターフェロン・アルファ注射などがあります。
ステロイド
炎症を強力に抑える作用があります。しかし、ステロイドを中止すると治まっていた脊髄の炎症が再発することが多いため、一度使用し始めるとなかなか中止できません。また、長い間ステロイドを大量に使用すると感染症、糖尿病、骨粗しょう症、肥満、白内障などの副作用を引き起こす恐れがあるため、病状や年齢、合併症などに基づいて適切な量を正しく使用することが必要な薬です。現在、ステロイドに代わるHAMの炎症に有効な薬剤の研究開発が進んでいます。

インターフェロン・アルファ:
炎症を抑える作用とウイルスを抑える作用がある注射による治療薬です。現在保険適応となっている薬は(商品名:スミフェロン)、通常、成人は1日1回皮下または筋肉内に注射します。注射する期間と回数は個々の症状によって異なります。 主な副作用として、発熱・全身倦怠感・食欲不振などのインフルエンザ様症状、脱毛などが報告されています。また、間質性肺炎抑うつ、血球減少などの副作用もあります。定期的な診察と検査を受けて、副作用の出現に注意しながら治療を受ける必要がありますので、このような症状に気づいたら、主治医によく相談してください。ただし、網膜症、肺障害やうつ症状のある方は使用をさし控えて下さい。

◆ 積極的にリハビリをしましょう
HAMは、両足の筋力が低下していきますが、運動をしないことによって筋力はさらに低下してしまいますので、リハビリを積極的に行って、筋力維持と拘縮予防に努めることが大切です。
なかには、病気の進行よりもリハビリの不足による筋力の低下が歩行障害の原因になっていることも少なくありません。そのため、リハビリ専門の病院でリハビリの先生とよく相談して、ご自身の状態に適したリハビリの方法を指導してもらいましょう。

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* 家庭で出来るリハビリテーション

HAM患者さんでは、症状により筋肉の緊張が高まっていることが多いので、それを和らげるために、無理のない程度にストレッチを行うことが効果的です。

例えば、足を背屈させた状態を1分間くらい保つなど、ふくらはぎの筋肉を十分に引き伸ばすことによって、尖足(せんそく)を予防する効果が期待できます。


さらに、十分にストレッチを行った後に、反復立ち上がりなど筋力を保つ訓練も重要です。また、体幹の筋肉を鍛えることも有効で、両手を前に組み背筋を伸ばして体を前後に倒すなどの運動も効果的です。転倒等に十分注意して、危険のない範囲で行いましょう。

担当のリハビリの先生に相談して、自宅で出来るリハビリの内容についても指導してもらいましょう。

 


◆ 日常生活で心掛けたいこと
● ひとりで悩みをかかえこまないようにしましょう
HAMと診断されたばかりの患者さんは、聞き慣れない病気に 不安になり、気分が滅入ることがあるかもしれません。しかしこのような状態が長く続くと、心身ともに負担になることがあります。ひとりで悩みをかかえこまないようにしましょう。ご家族や周囲の方とたくさん話すようにしてアドバイスを受けるようにしましょう。また、HAMの患者会に参加するなどして他の患者さんと情報交換することで、役立つ情報を得ることができます。

● 転倒や骨折に注意しましょう
HAM患者さんは、じゅうたんなどのちょっとした段差でつまずいたりすることがあります。また、特に下り坂でのつまずきに注意しましょう。

● 尿の調節に気をつけましょう
HAM患者さんは、尿が出にくくなり、残尿が多くなったりすることがあります。放置していると、尿路感染症の原因となったり、腎臓の機能を悪化させたりする原因となることがありますので、早めに泌尿器科専門医の診察を受けて、適切な治療を受けるようにしましょう。

● 毎日の生活はマイペースで
HAM患者さんにとって、日常生活でしてはいけないことはありません。栄養バランスのとれた食事と適度な運動をこころがけ、できる限りストレスや過労などの因子を避けるようにしましょう。毎日の生活をマイペースで過ごし、ご自分に合ったペースをうまくつかむことが大切です。

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◆ HAM患者が対象となる主な公的支援

 

 

公的支援の多くは、患者さんご自身で申請をする必要があります。 また、自治体ごとに申請の手続き方法やサービス内容が異なりますので、 それぞれの相談窓口でよくご相談のうえ検討してください。


■HAMに関する冊子「HAMと診断された患者さまへ」(PDFファイル)

■詳細ページ

■臨床研究を知りたい方

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