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麻薬について調べたら。

麻薬について

1. 薬物相互作用とは
 薬物相互作用(以下、相互作用)とは、ある種の薬物の効果が他の薬物を併用することによって大きく変化することをいう。このような相互作用によって薬物の効果が毒性領域にまで増強されることがあり、一方では、薬物の効果が相殺されて治療効果が減弱してしまうこともある。薬物に対して予想外の反応が起こった場合は、常に相互作用を疑ってみるべきである。
 相互作用の発生機序を解明すれば、発現を予測することが可能となる。相互作用は、薬物動態学的相互作用と薬動力学的相互作用の2種類に分類できる。
[薬物動態学的相互作用 pharmacokinetic drug interaction] 薬物Aが薬物Bの吸収、分布、代謝、排泄に影響を与える結果、作用部位での薬物Bの濃度が変化し、その効果が増強または減弱するような場合をいう。
[薬動力学的相互作用 pharmacodynamic drug interaction] 薬物Aと薬物Bが作用部位で協力あるいは拮抗する場合をいう。協力作用には相加作用(効果が各薬物の効果の和)と相乗作用(効果が各薬物の効果の和以上)がある。
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2. オピオイド使用時に注意すべき相互作用(表8)
 オピオイドは、中枢神経抑制薬(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体ベンゾジアゼピン系薬剤など)、吸入麻酔薬、MAO阻害薬、三環系抗うつ薬、β遮断薬、アルコール、抗ヒスタミン薬との併用において相加的に中枢神経抑制作用を増強させるため、併用時は呼吸抑制、めまい、低血圧および鎮静が起こることがある。一方で、中枢神経抑制薬とオピオイドを併用している患者でオピオイドを中止する場合、中枢神経抑制作用が減弱する可能性がある。
 また、モルヒネおよびオキシコドンなどは抗コリン作用を有するため、抗コリン作用を有する薬物と併用することにより麻痺性イレウスに至る重篤な便秘または尿閉、せん妄などが起こることがあるため注意が必要である。
 その他、オピオイドは、麻薬拮抗性鎮痛薬*であるブプレノルフィンやペンタゾシンと併用するとオピオイド受容体への結合が阻害され、鎮痛作用の減弱や離脱症候が発現する可能性があるため、原則として両者を併用すべきでない。いずれもオピオイド間の薬動力学的相互作用によるものと考えられている。
*:麻薬拮抗性鎮痛薬
単独ではオピオイド受容体に作動薬として作用するが、他のオピオイドとの併用によっては拮抗作用を示す薬物。
表8 主なオピオイドの相互作用
主なオピオイド
↓併用薬
モルヒネ オキシコドン フェンタニル 主な機序
中枢神経抑制薬
(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体など) ↑ ↑ ↑ 中枢抑制
作用の増強
抗凝固薬
(ワルファリン) ↑ ↑ 不明
麻薬拮抗性鎮痛薬
(ブプレノルフィン、ペンタゾシンなど) ▽ ▽ 受容体結合
の変化
グルクロン酸抱合を抑制する薬物
(シメチジン、メトトレキサート、シスプラチンなど) △ 肝代謝の変化
CYP2D6阻害薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬パロキセチン
フルボキサミンミルナシプランなど)〕 △ 肝代謝の変化
CYP3A4阻害薬
(イトラコナゾール、アミオダロン、クラリスロマイシン、
ジルチアゼム、フルボキサミンなど) △ △ 肝代謝の変化
↑/↓:併用薬の作用増強/減弱
△/▽:オピオイドの作用増強/減弱
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3. 特にモルヒネオキシコドンフェンタニル使用時に注意すべき相互作用
 キニジンは、吸収過程における薬物相互作用によりモルヒネ経口剤の薬物血中濃度(時間)曲線下面積(area under the drug concentration time curve;AUC)と最高血中濃度(maximum drug concentration;Cmax)を上昇させる。また、シメチジン、メトトレキサートおよびシスプラチンはグルクロン酸抱合を抑制するため、グルクロン酸抱合を受けて代謝されるモルヒネの作用を増強する。一方、リファンピシンはグルクロン酸抱合を亢進させるため、モルヒネの作用を減弱させる(いずれも代謝過程における薬物動態学的相互作用による)。そのため、これらの薬物とモルヒネを併用する場合は、モルヒネの鎮痛効果を十分に観察する必要がある。
 オキシコドンは、CYP2D6阻害薬と併用した場合O-脱メチル化反応が阻害され、その結果オキシコドン血中濃度が高まる可能性がある。例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害薬の多くはCYP2D6阻害薬であるため、代謝過程における薬物動態学的相互作用によりオキシコドンの効果が強まる可能性がある。ボリコナゾールなどのCYP3A4阻害薬もまた、併用した場合N-脱メチル化反応を阻害するため、オキシコドン血中濃度が上昇する可能性がある。また、リファンピシンはオキシコドンのクリアランスを増加させ血中濃度を低下させるが、リトナビルやキニジンではクリアランスを低下させるため、オキシコドン血中濃度が高まる可能性がある。一方、オキシコドンそのものはシクロスポリンの生体内利用率を減少させるため、併用する場合にはシクロスポリンの薬効が減弱する。
 フェンタニルは肝薬物代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用を有するため、本酵素を阻害するリトナビル、アミオダロン、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、フルボキサミン、さらに、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾールなどのトリアゾール系抗真菌薬と併用することにより、薬物動態学的な相互作用を引き起こし、フェンタニルのAUCの増加、半減期が延長する。