ECMOについてしらべてみた。。。
エクモについての簡易的なまとめ
1、導入について
1,Pao2 100
2. 気道内圧が30以上
3、Paco2 80以上(高炭酸ガス血症)
4、人工呼吸器装着から24時間しても高い人工呼吸器の設定が必要な時
Fio2 60%以上
PEEP 10-15以上
AP15cm H2O 呼吸回数が12/分
↓
以下になってきたらウィニング
SPo290以上になってきたら
Sweetガス3L/分前後に調整
それが0、5L/分までなってきたら
エクモのウィニング開始となる
2、エクモの種類について
心肺補助がPSPC
肺補助がECMO
その中でも
vvーECMO呼吸のみの補助)
VAーECMO主に循環サポート、同意義で、PSPSとして使われることがある。
V V AーECOMO(静脈と動脈の送血)
心機能低下の患者は
呼吸循環補助として
VAーECMOが使用される(PCPS)ECPR(extra CPRが心肺蘇生)
3、ECMO下では
PCVで用いられるが=プレッシャーcontrol ventilation)
PCPSはVAーECMOとほぼ同意義である。
ECMOといえば
V VーECMO(呼吸補助)で、
V V AーECMO静脈と動脈の送血
4、POSC(自己心肺機能再開)では
早期にCAG/PCI→予後が良い
5、ECMO目的肺保護換気の実現で、
可逆性の病変に使用する。
(体外式膜型人工肺)
Lung Restで肺を休める目的がある
**PCIとは
経皮的冠動脈形成術(バルーンカテーテルや
ステント留置などなど)
**CAGとは
経皮的冠動脈造影術
** CPRは
心肺蘇生法(Eはextra)
体外式循環式蘇生法で、PSPC(体外式循環装置)を用いて心肺蘇生する方法( CPR)
**皮的冠動脈インターベンション(PCI)ーー
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、心臓の筋肉に必要な栄養や酸素を運ぶ血管(冠動脈)が細くなったり詰まったりして、心臓に十分な血液が送られなくなることによって起こります。このため治療は、血管の狭くなった部分を広げて、血液のスムーズな流れを取り戻すことが目的となります。方法は大きく分けて、薬物治療・経皮的冠動脈インターベンション(PCI)・冠動脈バイパス手術(CABG)の3つがあります。
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、脚の付け根や腕、手首などの血管から、カテーテルという医療用の細く柔らかいチューブを差し込んで、冠動脈の狭くなった部分を治療する方法です。先端にバルーン(風船)を取り付けたカテーテルでバルーンを内側から膨らませて血管を押し広げる方法(バルーン療法)が基本です。
**ECMOーーーーーーーーーーーーーーーー
ECMOとは?
medical_guide-ecmo01
「人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療」をECMOと呼びます。人工呼吸器や昇圧薬など、通常の治療では救命困難な重症呼吸不全や循環不全のうち、可逆性の病態に適応されます。
ECMOは呼吸と循環に対する究極の対症療法であり、根治療法ではありません。通常の治療では直ちに絶命してしまう、または臓器が回復不能な傷害を残すような超重症呼吸・循環不全患者に対し、治癒・回復するまでの間、呼吸と循環の機能を代替する治療法です。
ECMOはextracorporeal membrane oxygenation「体外式膜型人工肺」という機器の略語ですが、欧米人にとってECMO(エクモ)は発音しやすく、広く使用されています
ECMOの分類
ECMOは導入目的や送血方法により分類されます。
本邦ではPCPS(Percutaneous cardio pulmonary support:経皮的心肺補助)という用語がよく用いられますが、PCPSはVA ECMOとほぼ同義です。
本邦で「ECMO」という時は、呼吸不全に対するVV ECMOを指すことがほとんどです。
実際には、呼吸不全に対するVV ECMO中に循環不全を合併してVA ECMOに移行したり、逆にはじめ循環不全に対しVA ECMOを導入し、循環改善後に残った呼吸不全に対してVV ECMOに移行することもあります。
また、静脈と動脈に送血を行うVVA ECMOを行うこともあります。
重症呼吸不全におけるECMOの役割
「肺」は非常にかわいそうな臓器です。障害を受け機能が落ちた場合、酸素投与からはじまり、非侵襲的陽圧換気(NPPV)、陽圧人工呼吸器管理と、さらに肺をムチ打って酷使する治療法が従来行われてきました。
ECMOの導入は、肺が本来行うべき酸素化と二酸化炭素除去を代替し、肺を全く使用しなくてもよい状況(Lung Rest)を作り出します。
それにより、陽圧人工呼吸や高濃度酸素による肺障害を回避しつつ、重症呼吸不全において治療の時間を確保することができます。
ECMO治療の難しさ
適切なECMO管理のためには、人工肺、ポンプ、カニューレなど、適切なデバイスの選択が必要です。本邦では循環不全に対するVA ECMOとしてのPCPSのデバイスが普及していますが、これらには長期使用に耐えられないものが含まれます。
長期管理になりうる呼吸ECMO管理では、送血脱血の方法、ブラッドアクセス、抗凝固療法など安定したECMO治療確立のための治療戦略、リハビリテーションや栄養療法、Awake ECMOなどECMO離脱後を見据えた治療戦略も重要です。
さらに、ECMO管理中の特殊な生理学的状態の理解、適切なモニタリングとトラブルシューティングは必須です。
近年ではECMO治療の成績向上とともに、ECMO導入の適応における倫理的側面の問題もあがっています。
医局HP ECMO20190111
CAGについてーーーーーーーーーー
体に大きな傷をつけることがなく、局所麻酔によって患者さんの意識のある中で進めることもできるため、胸を大きく開くバイパス手術に比べ、患者さんの体にかかる負担は少なくてすみます。このため、症状が比較的軽い場合や、高齢者も含め、多くの患者さんに対して行われるようになりました。
ただ最近は、再び血管が詰まってしまう場合(再狭窄)もあるため、これを防ぐために、ステントと呼ばれる器具を使うことが増えています。ステントは金属を網の目状にした筒で、バルーンで血流を再開させた後に血管の中に留め置き、血管を内側から補強します。
また、病変が非常に硬くなっている場合(石灰化)など、バルーンやステントだけでは治療がむずかしいときには、ロータブレータと呼ばれる特殊な機器を使って血管の狭くなった部分を削りとることもあります。
心臓血管外科
冠動脈バイパス手術(CABG)
オフポンプ手術(off-CABG)
オンポンプ手術(on-CABG)
低侵襲冠動脈バイパス手術(MIDCAB)
MICS(低侵襲心臓手術)
僧帽弁形成術
人工弁置換術
人工血管置換術
ステントグラフト内挿術
メイズ手術
循環器内科
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)
バルーン療法
ステント
薬剤溶解ステント(DES)
ロータブレータ
埋め込み型除細動器(ICD)
血栓溶解療法(t-PA療法)
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第2回「ECMOの働きを知ろう」
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佐々木慎理主任臨床工学技士
「ECMOは心臓と肺を休ませる」のポイント
高山綾臨床工学技士長
「ECMOは専門チームで動かす」のポイント
新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)―19)の治療では、重症患者の救命の切り札とされたECMO(エクモ)が注目された。人工心肺装置の一つだが、どんな仕組みで働くのだろうか。「川崎学園集中講義」第2回は、川崎医科大学附属病院でECMOを操作している佐々木慎理・主任臨床工学技士(川崎医療福祉大学講師)と高山綾・臨床工学技士長(同大学准教授)に、ECMOの運用における臨床工学技士の役割について解説していただいた。
「ECMOは心臓と肺を休ませる」 川崎医科大学附属病院MEセンター 佐々木慎理主任臨床工学技士(川崎医療福祉大学講師)
●ECMOは2種類ある
ECMOのシステムは日本で開発されました。体外で血液を循環させる遠心ポンプと、血液中の二酸化炭素を除去し酸素を与える人工肺を組み合わせた装置です。
当初は重症心不全の患者を対象に、心臓を助ける目的で用いられました。太ももの静脈(Venous)から抜いた血液を動脈(Artery)に戻すので「V―A ECMO」と呼ばれます。高度救命救急センターでは心肺停止状態の患者の蘇生にも使われます。
装置は同じですが、太ももの静脈から抜いて首筋の静脈へ戻す「V―V ECMO」もあります。肺炎など重症呼吸不全の患者が適応です。2009年に新型インフルエンザが大流行した際、肺を助ける目的で使われ、一般化しました。COVID―19で肺炎が重症化した場合もV―Vの導入を検討します。
●肺を休ませて肺炎を治療
重症の肺炎では、まず、気管に挿入したチューブで肺へ酸素を送る人工呼吸器で呼吸を補助します。しかし、長期間続けると肺を障害し、回復できなくなります。高濃度の酸素は組織への毒性があるためです。
ECMOは血液を取り出して直接酸素化するので、呼吸の必要がなくなり、肺を休ませることができます。その間に肺を回復させて救命します。肺炎を治療するための時間を稼ぐ装置だと言えます。
●導入のタイミングを見極める
ECMOは血液を体外循環するので合併症も多く、重症化する前に予防的に使うものではありません。人工呼吸器で高い圧力をかけたり、酸素濃度を高めたりしても呼吸が保てなくなる状態を見逃さず、適切な時期に開始することが大切です。
COVID―19の肺炎は急激に悪化することがあるとされています。私たちはまだCOVID―19でのECMO使用は経験していませんが、チームでシミュレーションを重ね、導入のタイミングを見極めることが重要だと思っています。
「ECMOは専門チームで動かす」 川崎医科大学附属病院MEセンター 高山綾臨床工学技士長(川崎医療福祉大学准教授)
●24時間体制で作動をチェック
ECMOは複雑、高度な生命維持管理装置であり、1人で運用できるものではありません。治療を統括する医師は、脱血、送血する太い管(カニューレ)を血管に挿入する技術を持ち、集中治療に習熟していなければなりません。
私たち臨床工学技士は装置の回路を組む段階から関わります。管や装置に気泡が入らないように準備し、導入時には血液の流量や酸素の濃度が目標通りになっているか確認します。
安定した後も、24時間体制で作動状況をチェックします。血管の外にある血液は固まりやすくなっています。回路のどこかに血栓ができて詰まっていないか、圧力がかかりすぎていないか。患者の容体が変化すれば、それに合わせて装置の設定を変えていきます。
体位変換や点滴を管理する看護師、血管造影やレントゲン撮影を担当する放射線技師、廃用を防ぎ身体機能を保つリハビリを行う理学療法士もチームに欠かせません。
●豊富な臨床経験
臨床工学技士なら誰でもECMOを扱えるわけではありません。ECMOなどの操作技術を認定する「体外循環技術認定士」という資格制度があり、臨床工学技士の経験3年以上、30例以上の操作経験などの受験要件があります。当院には佐々木主任技士ら複数の有資格者がいます。
学会アンケートによると、2016年のECMO症例数は全国5524件です。当院は4台のECMOで年間20~30例施行しており、全国的にも臨床例の多い施設です。患者の状態をみて調整する能力が求められ、そのために臨床経験はとても大切です。
臨床工学技士は医療機器に精通しているだけでなく、病態や治療法も詳しく学んでおかなければなりません。医師や看護師らと共にチームを組むには、高いコミュニケーション能力も必要です。
当学園は併設する大学で臨床工学技士を養成しており、未来を担う“命のエンジニア”の教育にも力を入れています
COVID–19急性呼吸不全への人工呼吸管理とECMO管理:基本的考え方(Mechanical ventilation and extracorporeal membrane oxygenation for acute respiratory failure owing to COVID–19: basic concept)
厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)「新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の実装のための研究」分担研究班* (Shared Research Group in Ministry of Health, Labor and Welfare Scientific Research Grant for a Research for Risk Assessment of Emerging and Re-emerging Infectious Disease and Implementation of Risk Management Function) (厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)「新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の実装のための研究」分担研究班*)
First published: 13 October 2020
https://doi.org/10.1002/jja2.12499
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要旨JATHIS LINK GOES TO A UNDEFINED SECTIONENTHIS LINK GOES TO A ENGLISH SECTION
2019年新型コロナウイルス疾患(COVID–19)により急性呼吸不全を呈する重症患者管理の根幹は,呼吸機能低下に対する支持療法としての人工呼吸と体外式膜型肺(ECMO)である。COVID–19患者数が増加していることを踏まえ,臨床現場での参考となりうるECMOに関する標準的なケアの概要を専門家のコンセンサスステートメントとして提案した。ECMO管理のための適応,管理方法,および注意点を,資源制約のある場合を含めて記載した。
*研究班員(†)・協力員
児玉 聡 京都大学大学院文学研究科
嶋津 岳士 大阪大学大学院医学研究科救急医学
高橋 毅 国立病院機構熊本医療センター
竹内 一郎† 横浜市立大学救急医学
竹田 晋浩† かわぐち心臓呼吸器病院
西田 修 藤田医科大学麻酔・侵襲制御医学
福田 敬 国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター
前田 正一 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科
日本COVID–19対策ECMOnet(代表 竹田晋浩)
一般社団法人日本集中治療医学会(理事長 西田 修)
一般社団法人日本呼吸療法医学会(理事長 藤野裕士)
一般社団法人日本救急医学会(代表理事 嶋津岳士)
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文献について
はじめに
COVID–19診療において,急性呼吸不全を併発する重症患者管理の中心となるのは,呼吸機能の代替療法としての人工呼吸管理と体外式膜型肺(ECMO)である。とりわけ呼吸ECMO[静脈脱血–静脈送血(V–V)ECMO]は,本来これに習熟した専門医が専門施設において提供することが理想であるが,需要の増大時においては必ずしも習熟していない施設でも治療を実施せざるを得ない状況も発生しうる。
わが国では2009年にインフルエンザ・パンデミックを経験したが,その際には呼吸ECMO管理にかかる医学的知見が少なく,習熟度が全国的に低く,このことが国際間比較において比較的不良な転帰に関連した可能性が指摘された 1。しかし,現時点の本邦では,熟練施設における通常診療では,呼吸ECMOに特徴的な長期管理に耐えうるデバイスの選択や特別なスキルを含め,適切な管理を行うことで,呼吸ECMO患者の予後を改善しうる 2。COVID–19感染拡大に伴う患者数の増加に応じて,非熟練施設にもこの治療法を普及させる必要があり,参照可能な標準的方法についてまとめる意義がある。
一方,爆発的な患者増大が生じた場合には,平時の運用と異なる考えを導入する必要が生じうる。すなわち,限定された医療資源を背景に,個人のみならず国民全体としての幸福の最大化という観点から,いかに資源を分配するかを考慮せざるを得ない場合も想定される。このような場合でも,医療機関,医療従事者は,判断の倫理的妥当性と透明性を保つ限りにおいて,社会的非難から保護される必要がある。
これらの観点から,本研究班では,COVID–19診療における呼吸ECMOの適応や実施上の注意点をまとめ,提案することとした。
なお,本報告書は,2020年7月時点の情報をまとめたものであり,その内容は今後の知見に応じて修正が必要となる可能性がある。また,新型コロナウイルス感染症(COVID–19)診療の手引き・第2版 3も合わせて参照されたい。
本論文は倫理委員会の承諾を受ける必要がない研究であり,症例報告ではない。また個人情報保護法に基づく匿名化に該当しない論文である。
ECMOの適応
1. 基本的考え
•慎重かつ総合的に判断する。
•経験が豊富とはいえない施設においては,専門家の助言を取り入れる。
2009年のインフルエンザパンデミック後,重症呼吸不全患者に対するECMOが予後を改善することが示されてきた 4, 5, 6が,一方でこの治療は合併症も多く,呼吸ECMOの経験が豊富な施設での治療が死亡率の低さと相関していたという報告がある 7。死亡率改善の背景には,適切なECMOの適応判断や管理方法の標準化,および経験の蓄積などがあると考えられており,ECMO導入に際しては,日本COVID–19 ECMOnet‡へコンサルトし,助言を求めることが望ましい。
‡ 日本COVID–19対策ECMOnet: https://www.ecmonet.jp/
•患者や家族へ治療効果の限界や撤退について導入前に十分に説明しておく。
ECMOは病状回復までの生命維持代替手段であり,経過中に高度な肺線維化が生じた場合や,臓器不全が進行した場合などにおいては,治療の撤退をしなければならない可能性がある。ECMOを導入する前に患者や家族が理解できる形で十分に説明し,同意を得ておく。
•施設の人員や設備を含めた対応能力を勘案する。
COVID–19へのECMO治療はかなりの人員と労力が必要である。心臓ECMOを対象とした報告では,密な集中治療管理が死亡率を50%低下させ 8,適切な看護師配置により,死亡率が14~36%低下した 9, 10。欧米では,ECMOを集中して管理するECMOセンターの60%が24時間体制の1:1看護を実現している 11。これらの知見は呼吸ECMOにおいても外挿可能と考えられる。加えて,COVID–19では感染対策などが必要であり,それに関連した負担は通常よりも増加すると予想され,施設の人員や設備を含めた対応能力を勘案したうえで適応を検討する。
•ECMO開始前の人工呼吸管理を適切に行い,導入のタイミングを逃さない。
人工呼吸管理は,ARDSの呼吸管理に準じた肺保護戦略を用いる。過剰な換気量,換気圧は避ける。高圧での人工呼吸を長期間(概ね7日間)行った後にECMOを導入した患者では非常に予後が悪い。人工呼吸器による肺傷害(ventilator–induced lung injury: VILI)は,人工呼吸患者の予後を悪くすることが知られており,2009年CESAR trial 4では,“高濃度酸素もしくは高気道内圧で人工呼吸管理を7日以上行った患者”をexclusion criteriaとしていた。また近年では,2018年EOLIA trial 5およびそのPost hoc解析 6で,早期のECMO導入が予後を改善する可能性が示されている。
•PEEP 10cmH2O,P/F比<100で進行性に悪化する場合を目安とする。
COVID–19の臨床経過では,発症から8~10日目あたりで呼吸不全が発症し,短時間でARDSに進行するのが特徴的な経過である 12。COVID–19肺炎は比較的軽症のL型(肺内含気は正常で肺コンプライアンスは保たれるが肺循環障害のために低酸素症を呈するタイプ)と,重症のH型(肺水腫が進行し肺内含気が低下,コンプライアンスが低下するタイプ)に分けられる 13。H型であれば,人工呼吸のみによる管理には抵抗性であるためECMOの適応となりうる。ただし,L型からH型への移行の判定は難しい。また,酸素化が増悪し始めると数時間で重篤な低酸素状態に陥ることが多い。目安として,PEEP 10cmH2O,P/F<100で進行性に悪化する場合はECMOを考慮する。ELSO guideline 14では,FiO2>0.9でPaO2/FiO2<150mmHgでMurray score 2~3,もしくはFiO2>0.9でPaO2/FiO2<100mmHgの酸素化障害に加え,Murray score 3~4,Pplat>30cmH2Oでもなお持続する高二酸化炭素血症を一般的なECMOの適応としている。2018年のEOLIA trial 5では,腹臥位療法や筋弛緩薬投与,一酸化窒素吸入などの適切な支持療法を行ったうえで,PaO2/FiO2<50mmHgが3時間以上もしくはPaO2/FiO2<80mmHgが6時間以上持続する低酸素血症,適切な人工呼吸管理を行ってもpH<7.25かつPaCO2≧60mmHgの状態が6時間以上持続する換気障害をECMOの適応としている。実際の見極めは難しく急激な変化もありうることから,人工呼吸管理開始の段階から日本COVID–19 ECMOnetにコンサルトし,助言や転院の調整を行うことも重要である。
•患者背景を勘案する。
COVID–19患者では,comorbidityとして心血管疾患,慢性呼吸不全の合併例は死亡率が高い傾向にある。非COVID–19における呼吸ECMOにおいて,年齢は重要な予後予測因子であり,特に65歳以上の予後は不良との海外報告がある 15, 16。また本邦でのCOVID–19診療のデータ 17を解析すると,年齢が上がるほど人工呼吸やECMOを要する患者の死亡率が高かった(現時点で未公表データ)。COVID–19に対するECMO導入に際しては,暦年齢だけではなく併存基礎疾患や日常生活動作などの身体機能,さらには個々の施設の医療資源や遂行能力も考慮して総合的に判断する。
2. 適応外について
日本COVID–19対策ECMOnetでは,ELSOによるCOVID–19におけるECMOの禁忌に関する記述も踏まえ 18,一般に以下の病態は適応外と考えている。
•不可逆性の基礎疾患 14
•末期癌 14
•慢性心不全,慢性呼吸不全,その他重度の慢性臓器不全の合併 10
3. COVID–19の流行フェーズに基づく適応,特に資源に制約が生じる場合の考え方について
COVID–19診療においては,その流行フェーズと,これに呼応する医療資源の使用状況に基づき,ECMOの適応や資源分配について平時の運用とは異なる考え方をとる必要性に迫られる。すなわち,爆発的な患者数増大が生じた場合には,限定された医療資源を背景に,個人のみならず国民全体としての幸福の最大化という観点から,資源をいかに分配するかを考慮せざるを得ない場合が想定されうる。例えば,医学的には適応と考えられる患者が複数いる場合でも,資源の制約がある場合には,より良い結果(健康状態の回復と生存年)が得られると期待される患者を優先的に治療することや,全体としての提供量を制限し,より効果の得られる対象に限定した適応とすることなども考慮される。その判断に際しては倫理的妥当性と透明性が保持されなければならない。ELSOガイドライン 17では,COVID–19流行のフェーズと患者増大に伴いECMOの適応が変化・制限されうる点に着目した,流行フェーズごとのECMO提供の考えを提案している(文献18内figure 2)。
ECMO管理の実際
1. カニューラの選択
呼吸ECMOでは,いわゆるPCPS(V–A ECMO)と異なり,長期管理が必要になる。長期間,安定した管理を行うためには適切なカニューラ選択が必須である。表1を参考に,できるだけ太いカニューラの使用を検討する。太いカニューラ在庫がない,挿入できる医師(呼吸ECMO使用に習熟した集中治療医,救急医,心臓血管外科医など)がいない,小児の場合などは,挿入前に「日本COVID–19対策ECMOnet」まで相談する。
Table 1. カニューラ径の選択
体表面積(m2)
脱血管径(Fr)
大腿静脈 50cm
送血管径(Fr)
内頸静脈
1.0–1.3 23 17
1.3–1.6 23 17
1.6–1.8 25 19
1.8–2.1 27 19
2.1–2.4 29 21
内径を反映した「Mナンバー 19」を参考に,適切なサイズのカニューラを留置する。
成人では体表面積,小児では体重を指標 20, 21に適切なカニューラサイズを選択する。
2. 人工肺・ポンプ
•人工肺・ポンプも長期耐久型の機種を使用する。
1990年代の旧式のVV–ECMO装置を使った臨床試験では有効性を示せなかった 22, 23, 24。しかし,1990年後半に耐久性の高いECMO装置が開発されると呼吸ECMOの転帰は改善し始め,H1N1パンデミックにおけるRCTでは,ECMOの生存率改善が示された 4。このような歴史を背景に,長期型ECMO装置を使用しての呼吸ECMO管理の有効性が唱えられるようになった。
3. 回路内圧モニタリング
•安定した呼吸ECMOの長期管理のためには,回路内の圧モニタリングが必須である。
•少なくとも脱血および送血カニューラの2か所での圧モニターを推奨する。
回路内圧をモニタリングする最大の理由は合併症の予防である。ECMO患者の約40%に何らかの合併症が生じるといわれており,出血などの合併症は時に致死的となる 25。そのため,患者の状態に問題があるのか,ポンプに問題があるのか,人工肺かなど,どこに異常が起きているかをモニタリングするために回路内圧の測定は必須となる 14。
4. 人工呼吸管理
•呼吸ECMO中は可能な限り肺を休ませる(肺保護戦略)。
•開始初期には自発呼吸温存,オープンラング,早期離床・早期リハビリなどは原則として不要である。
•通常の強制換気(PCV,FiO2 0.4以下,PEEP 10cmH2O以下,上限圧20cmH2O以下,換気回数10回/分以下)以外の設定は基本的に使用しない。
重症呼吸不全診療における臨床経過の悪循環は,肺病変の進行に際して,①過剰な自発呼吸により経肺圧が上昇し自己肺傷害を来すこと(patient self–inflicted lung injury: P–SILI),②呼吸器の設定の強化を要しそれによってVILIが発生すること,による 26, 27。悪循環が進行すると肺が線維化し,不可逆性の肺傷害が完成する。この悪循環を断ち切るのがECMOである 28。すなわち,肺病変の進行に際し,呼吸器設定を強めることなくECMOを使用して肺の修復を待てば,VILIのリスクを最小限にしながらの呼吸管理が実現できる。
5. Withdrawal(撤退)
•呼吸ECMOにおける治療限界の判断は非常に難しい。肺傷害の進行により肺の線維化が抑えきれない場合や,不可逆的な多臓器障害,脳出血などを来した際には治療撤退について検討する 29。
•厚生労働省による「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」 30や,「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提言~」 31などを参考に複数医師を含めた医療チームでの撤退判断が必要となる。
6. DNAR(do not attempt to resuscitation,心肺蘇生を企図しない)
•ECMO中に心停止が生じた場合に胸骨圧迫などの心肺蘇生処置を行わない指示(DNAR order)を選択することが考慮される。
•厚生労働省による人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 30や日本集中治療医学会の「Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告」などを参考に対応する 32。
7. その他
安定した長期管理を行うためには,水分管理,回路交換,鎮静・鎮痛,観血的処置(ドレナージ,気管切開など)にも注意する。特にCOVID–19では,出血・凝固障害を来す頻度が高い可能性があり注意する 33, 34。